[掌編小説:014]探偵はいつもの自動販売機で缶コーヒーを購入した。しかし、一口飲んだ瞬間、予想外の味が口の中に広がった。ラベルを見ると、ブラックコーヒーではなく、ミルクコーヒーだった。探偵は自動販売機を調査した。すると、自動販売機の裏には、小さな穴が開いていた。穴の中からは、細い針金が伸びていた。探偵は針金をたどっていくと、隣の自動販売機にたどり着いた。そこには、ブラックコーヒーの缶が積まれていた。探偵は気づいた。自動販売機の中で、缶の中身を入れ替える仕掛けがあるのだ。だが、その目的は何なのだろうか? 考え込んでいる探偵を物陰から見つめる人物がいた。それは探偵の奥さんだった。奥さんはブラックコーヒーばかり飲む夫の探偵の体を気遣い、少しでも体にやさしいミルクコーヒーに入れ替える仕掛けを作ったのだ。ただ、なぜこんな手の込んだことをするのだろうか? 直接話せば解決する問題ではないのか? 夫婦というものは謎である。