[掌編小説:008]探偵はランチタイムに、和食店でアジフライ定食を注文した。しかし、運ばれてきた皿を見ると、アジフライが2切れしかなかった。探偵は店員に問いただした。「メニューにはアジフライが3切れと書いてあるはずだが?」店員は驚いた顔をした。「申し訳ありません、間違えました。すぐにお持ちします。」探偵は皿をじっと見つめた。アジフライの切れ端が皿の端に残っていた。探偵は気づいた。店員は嘘をついている。アジフライは3切れあったが、店員が1切れを食べてしまったのだ。探偵は店員を呼び止めた。「君、アジフライを食べたな?」店員は顔を赤くした。「どうしてわかったんですか?」探偵は笑った。「簡単だよ。君の口元にパン粉がついている。」店員は謝罪し、新しいアジフライを用意した。だが、探偵は真実に気づいていなかった。アジフライを食べたのは店員ではなく、お店で飼っていた猫が配膳の際に食べてしまった。それを庇っての店員の偽装工作だったのだ。