[掌編小説:007]彼は風景画家であった。日々、山を登り、里の山並みを描いていた。ある日、山の中で彼は美しい女性と遭遇した。彼女は村の娘で、山の草花を摘んでいた。彼は彼女に一目惚れし、絵のモデルになってくれるよう頼んだ。彼女は笑顔で承諾した。彼にとって、人物画を描くのは初めてのことであった。恋をするのも初めてのことであった。だが、彼は彼女の姿を心に刻み、彼女への想いを込めた絵を完成させた。彼女はその絵を見て感動し、彼に抱きついた。しかし、彼が愛していたのは絵の中の彼女であった。彼は彼女の絵を大切にし、「絵の中の恋人」と呼んだ。