[掌編小説:001]私は高校時代の同級生と久しぶりに会った。彼女は昔と変わらず元気そうだった。「あの頃を思い出すよね」と彼女は言った。「あの頃?」と私は聞いた。「あなたと一緒に学校帰りに焼きそばパンを買って食べていたころよ」と彼女は言った。「焼きそばパン?」と私は聞いた。「えっ、忘れちゃったの?あなたが大好きだった焼きそばパンよ」と彼女は言った。「ごめん、全然覚えてない」と私は言った。「そうなの?それじゃあ、これを見てごらん」と彼女はスマートフォンを差し出した。スマートフォンの画面には、私と彼女が焼きそばパンを持って笑っている写真が映っていた。「これ、私たちが最後に会った日に撮ったんだよ」と彼女は言った。「本当に?」と私は言った。「本当よ。あなたはその日、私に告白してくれたんだよね」と彼女は言った。「告白?」と私は言った。「えっ、それも忘れちゃったの?」と彼女は言った。